散歩中の拾い食いをやめさせる「交換」トレーニングの手順

犬のしつけ方

散歩のたびに草むらに顔を突っ込み、気づいたときには口がモグモグ動いている。慌てて口をこじ開けようとすると、犬はそのまま飲み込むか、くわえたまま逃げる。この記事は、そんな拾い食いを「追いかけて取り上げる」のをやめ、「口にした物を自分から出せる犬」に育て直すための記事です。

先に結論を書きます。拾い食いが直らないのは、犬にとって拾えば必ず食べられる、つまり毎回成功する行動だからです。叱っても消えません。消すには、「出したほうが得」という経験を室内から積ませる交換の練習と、拾える機会そのものを減らす散歩の管理を同時に進める必要があります。

この記事では、拾い食いのタイプを5つに分けて見分け方を表にし、「ちょうだい」「リーブイット」「見て」の3つの練習を日数と回数つきで書きました。あわせて、バスケット型の口輪を罰ではなく安全装備として慣らす手順、危険な物のリスト、食べてしまったときの動き方までまとめています。

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最終更新 2026年9月8日

拾い食いが直らないのは「毎回成功する行動」だから

散歩中に草むらへ鼻を突っ込む柴犬とリードを持つ飼い主の手(イメージ)

先に3つ、頭に入れておいてください。拾い食いは犬にとって100%報われる行動であること。追いかけて取り上げると「早く飲み込む」「逃げる」を教えてしまうこと。そして、食べ物でない物を繰り返し飲み込むなら、しつけの前に受診が必要なことです。

犬の側から見ると、拾い食いは「外れのないくじ」

犬が地面の物を口に入れる。その瞬間に、においと味という報酬が入ります。飼い主が気づいて叱るのは、たいてい飲み込んだあとです。犬の学習は「行動の直後に何が起きたか」で決まるので、犬に残るのは「地面の物を口に入れる→おいしい」という結びつきだけ。あとから来る叱り声は、行動とつながりません。

しかも拾い食いは、練習しなくても自然に上達します。散歩に出るたびに、道端には食べ物のにおいが落ちています。犬はそれを探して見つけて食べる、という一連の流れを毎回自分で完結させています。毎回成功する行動は消えない。ここが、拾い食いが「治らない」と言われる一番の理由です。

追いかけて取り上げると、犬は「取られる前に飲む」を覚える

犬が何かをくわえた。飼い主が走り寄って口に手を入れる。この対応を繰り返すと、犬は2つのことを学びます。ひとつは「人が近づいてきたら急いで飲み込む」。もうひとつは「くわえたまま距離を取れば取られない」です。

結果として、以前なら口の中で転がしていた物を即座に飲むようになり、しかも飼い主から逃げるようになります。これは反抗ではなく、取られないための合理的な学習です。この状態の犬に必要なのは、取り上げる技術ではなく、「口の物を出すと、もっと良い物がもらえる」という経験です。それが後半で書く交換の練習になります。

食べ物でない物を繰り返し飲むなら、先に動物病院へ

石、土、布、ビニール、ティッシュ。食べ物ではない物を繰り返し飲み込む行動は異嗜(いし。英語ではpica)と呼ばれ、しつけの問題とは分けて考えます。Merck獣医マニュアルは、異嗜の背景として胃腸や代謝の病気を先に除外するよう記しています。若い犬の探索行動として一時的に出ることもありますが、成犬になってから始まった、体重が減った、下痢や嘔吐を伴う、といった場合はトレーニングの前に受診してください。異嗜を専門に診る外来を設けている動物病院もあります。

拾い食いそのものが疾患のサインになることは多くありませんが、「急に食べ物への執着が強くなった」「散歩中に草を毎回大量に食べる」といった変化があれば、こちらも一度相談を。しつけ教室の選び方のページに、病気が関係している可能性のあるサインをまとめています。

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犬のしつけ教材 イヌバーシティ|飼い主が学ぶための教材

拾い食いの前の一瞬、リードをどう使っていますか?

拾い食いは、口に入ってからでは間に合いません。勝負は犬が下を向いた瞬間ですが、その動きは文章にするととても伝わりにくいです。
拾い食い時の手とリードの動かし方は、映像だと一発で分かります。オンライン教材の「イヌバーシティ」は、散歩の場面も収録されていてわかりやすいですよ。

イヌバーシティの中身を覗いてみる

※ 公式ページが開きます。教材のサンプル動画をそのまま見られます。

拾い食いのタイプを見分ける

公園のベンチ下のにおいを嗅ぐミニチュアダックスフンド(イメージ)

対処は原因で変わります。うちの犬はどれに近いか、次の表で当たりをつけてください。複数に当てはまる犬も多いので、一番近いものを起点にします。

タイプ見分け方先にやること
① においで探す食いしん坊型鼻を地面につけたまま歩く。ゴミ集積所や飲食店の前で足が止まる。落ちている物はほぼ食べ物散歩コースの見直し+「リーブイット」+交換の練習
② 追いかけっこ型拾った瞬間に飼い主の顔を見る。追うと距離を取り、止まると戻ってくる。こちらの声が大きいほど動きが軽い追わない。交換の練習を室内で先に固める
③ 探索型(子犬・若犬)味より質感を確かめる様子で、食べ物でない物も一度は口に入れる。生後6ヶ月から3歳ごろに集中環境管理(拾えない場所を歩く)+交換の練習。成長とともに落ち着くが放置しない
④ 異嗜(疾患の可能性)石・土・布・ビニールなど食べ物でない物を繰り返し飲み込む。嘔吐や下痢、体重減少を伴うことがあるしつけの前に受診。胃腸や代謝の病気の除外が先
⑤ 空腹・食事量型最近になって急に執着が強くなった。ダイエット中、フードを変えた直後、食事回数が減った食事量と回数を見直す。変わらなければ受診

①〜③は、この記事の手順で取り組めます。④と⑤は、先に体の状態を確かめてからでないと練習の効果が出ません。

【タイプ別】今日からできる交換トレーニングと散歩の管理

リビングでおもちゃとおやつを交換する飼い主とトイプードル(イメージ)

練習は室内→庭や玄関先→散歩の順に進めます。散歩でいきなり試すと失敗し、失敗した練習は犬に「合図を無視してよい」と教えてしまいます。順番を飛ばさないことが、一番の近道です。

①②③共通:「ちょうだい」の交換練習(3週間)

ゴールは、口にくわえた物を合図ひとつで自分から落とす犬です。取り上げるのではなく、「出すと得をする」を数十回経験させるのが練習の中身になります。

  1. 1週目・室内・低価値の物から。ロープのおもちゃなど、犬がそこそこ好きな物で遊びます。犬がくわえているときに、米粒大に切ったささみを鼻先に差し出し、口が開いた瞬間に「ちょうだい」と言って食べさせます。落としたおもちゃはすぐ返します。1日5回、3分以内。おもちゃを返すのが大事で、「出しても取られない」を教えます。
  2. 言葉を先に出す。10回連続で成功したら、順番を入れ替えます。まず「ちょうだい」と言い、犬が落としたらささみ。落とさなければ、鼻先にささみを近づけて落とさせ、次回はもう少し早く言葉を出します。
  3. 2週目・価値を上げる。ガム、ジャーキー、パンの耳など「絶対離したくない物」で同じことをします。このとき交換に使うご褒美は、くわえている物より確実に良い物(ゆでたささみ、チーズ)にしてください。等価では交換が成り立ちません。
  4. 2週目後半・場所を変える。玄関先、庭、マンションの共用廊下など、外の空気が入る場所で同じ練習をします。においが増えるぶん難易度が上がるので、ご褒美は室内より一段上に。
  5. 3週目・散歩中に「わざと落とす」。飼い主が散歩の途中でおもちゃを落とし、犬がくわえたら「ちょうだい」。ここで成功すれば、実戦で使える段階です。本当の拾い食いのときも、走り寄らずに、落ち着いた声で「ちょうだい」→ささみの同じ流れで対応します。

「ちょうだい」は取り上げる合図ではなく、ご褒美の予告にする

この練習が崩れる原因は1つだけです。「ちょうだい」と言ったあとに、犬にとって損なことが起きること。散歩で危険物を出させたあとに、ご褒美を忘れて叱る。これを1回やると、それまでの数十回が帳消しになります。危険物を出せたときこそ、いつもの3倍のささみを出してください。

①③向け:「リーブイット(放っておいて)」の練習

「ちょうだい」は口に入れたあとの手段です。「リーブイット」は口に入れる前に、興味を持った物から離れる練習で、拾い食いにはこちらのほうが本命になります。合図の言葉は「リーブイット」でも「はなれて」でも構いません。家族で1つに揃えます。

  1. 握った手から始める(1〜3日目)。フードを1粒握り込み、拳を犬の前に出します。犬は当然そこを狙いますが、飼い主は無反応のまま動かないでください。教えたいのは「あきらめたほうが得」。犬が拳から顔を離した最初の一瞬が合図です。その瞬間にもう片方の手からささみ。握った側のフードは最後まで犬の口に入れません。1回2分、1日3回。
  2. 言葉をつける(4〜6日目)。顔を離すのが速くなってきたら、拳を出すのと同時に「リーブイット」と言います。行動が先、名前があとの順番です。離せたらささみ。
  3. 開いた手にする(7〜10日目)。今度はフードが見えている状態で「リーブイット」。難易度はここで一段上がります。手が伸びてきたら黙って拳を閉じ、また開く。叱る場面はありません。我慢できたら反対の手からささみです。
  4. 床に置く(11〜14日目)。フードを床に置き、足で覆える位置に立って「リーブイット」。取りに行ったら足で隠します。取らずに飼い主を見たら、ささみ。慣れたら足を離し、距離を1歩ずつ広げます。
  5. 散歩で使う(15日目〜)。最初は飼い主が「仕込んだ物」で。散歩コースの手前にパンの耳を置いておき、犬が気づいた瞬間に「リーブイット」。成功したら大げさに褒めてささみ。本物の落とし物に使うのは、仕込みで10回連続で成功してからです。

ポイントは、合図を出すタイミングが「犬が気づいた直後」であることです。鼻が地面についてからでは遅く、口に入ってからでは「ちょうだい」の出番になります。犬の耳と目線が動いた瞬間を見てください。

「見て」で通り過ぎる練習

ゴミ集積所の前のように、リーブイットを何度も出す区間があります。ここは1つずつ止めるより、飼い主の顔を見たまま通り抜けてしまうほうが早く済みます。危険区間の手前で「見て」と言い、目が合っている間だけ3歩ごとにささみを渡し、抜けきったら報酬を止めます。土台は室内での1日10回。名前を呼んで目が合ったらささみ、が当たり前になってから、散歩の刺激の少ない区間で試してください。

①②③共通:散歩コースと歩く位置、リードの持ち方

練習が仕上がるまでの数週間、拾い食いの機会そのものを減らします。ここを飛ばすと、練習で10回成功した翌日に散歩で1回成功して、元に戻ります。

  • コースを変える。ゴミの収集日と時間を調べ、集積所の前を通らない道を組みます。飲食店の裏口、公園のベンチ周り、コンビニの前も避けます。数週間だけの回り道です。
  • 草むらと反対側を歩かせる。歩道の車道側を犬、建物や草むら側を飼い主にします。犬と草むらの間に飼い主の体が入るだけで、拾える範囲が半分になります。
  • リードは1.2〜1.5mを短く持つ。持ち手を握ったまま、途中を手のひらで折り返して長さを詰めます。伸縮リードは練習中は使いません。犬が5m先で何を口に入れたか、飼い主には見えないからです。
  • 2m先を見て歩く。犬より先に落とし物を見つける習慣をつけます。見つけたら、犬が気づく前に進路を変えるか、「リーブイット」を出します。
  • 散歩前に少し食べさせる。空腹で出ると探す力が強くなります。食事の半分を散歩前に、残りを散歩後に分けるだけでも変わります。

リードを短く持つと引っ張りが強くなる犬は、Y字型の前引きハーネスに変えると扱いやすくなります。引っ張りそのものの直し方は犬の引っ張り癖を直す方法に書きました。

くわえたまま逃げる②のタイプは、「おいで」で戻れるかどうかで結果が変わります。呼び戻しが効かない犬は、犬が呼んでも来ないの練習を先に入れてください。

拾ったら危険な犬に:バスケット型口輪を「安全装備」として慣らす

タバコの吸い殻や鶏の骨を何度も拾う犬、練習中でも散歩に出なければならない犬には、口輪が現実的な選択肢です。口輪は罰ではなく、ヘルメットと同じ安全装備です。コーネル大学獣医学部も、外で危険な物を食べてしまう犬のためにバスケット型の口輪を慣らしておくことを勧めています。

選ぶ基準は「口を開けて呼吸できる」「水が飲める」の2つ

選ぶのはバスケット型(かご型)一択です。布製で口を閉じるタイプは、パンティング(口を開けた放熱)ができず、夏の散歩では危険です。素材はゴム系かポリエチレンの軽い物で、前面の目が細かい「拾い食い対策」仕様のものを。鼻先と口輪の先端に指1本分の余裕があり、口を開けても鼻先が当たらないサイズを選びます。首のストラップは指2本が入る程度に。バスケット型の口輪(拾い食い対策用)はサイズ展開が多いので、犬の鼻の長さと周囲を測ってから選んでください。短頭種は専用の形状が要ります。ひとつ注意があります。前面をふさいだ仕様は、隙間からおやつを渡せません。下の慣らし方は、口輪ごしにささみを送り込む手順を含みます。慣らしている間は目の粗いバスケット型を使い、自分から鼻を入れるようになってから拾い食い対策仕様に替えてください。

慣らす手順は、交換の練習と同じ「良いことの予告」にします。

  1. 1〜3日目:口輪を「ささみの器」にする。内側にささみを塗り、手に持って差し出すだけ。かぶせに行かないでください。鼻を入れるかは犬が決めます。舐め終わったら褒めて、犬ではなく口輪のほうを引きます。1回2分、1日3回。
  2. 4〜6日目:先に鼻、あとからささみ。順番を逆にします。何も塗っていない口輪を出し、犬が自分から鼻を入れたら、前面の隙間からささみを送り込む。「入れれば出てくる」に切り替える段階です。
  3. 7〜9日目:ストラップを留める。鼻が入ったら、留める・ささみ・すぐ外すを1セットにします。伸ばすのは留めている時間だけで、5秒、10秒、30秒と刻みます。外すのは犬が嫌がったときではなく、予定の秒数が来たときです。
  4. 10〜14日目:つけたまま室内を歩く。1分から始めて5分まで。つけている間は褒め言葉とささみを切らさず、外した瞬間は無反応にします。「つけている時間のほうが楽しい」を作ります。
  5. 15日目〜:散歩で使う。最初の3日は家の前の往復だけ。前足で外そうとしたら、まだ室内の段階に戻ります。

つけたまま目を離さないこと、真夏の炎天下で長時間つけないこと、口輪をつけても伸縮リードやノーリードにはしないことが使い方の条件です。口輪は拾わせない道具で、拾い食いを直す道具ではありません。交換の練習と並行して使ってください。

やってはいけないNG対応と、なぜ逆効果になるか

何かをくわえたまま飼い主に背を向けて距離を取るビーグル(イメージ)

どれも「やりがちな対応」です。逆効果になる理屈を知っておくと、とっさのときに手が止まります。

  • 走り寄って口をこじ開ける。犬は「近づかれたら飲む」「逃げれば取られない」を学びます。次からは飲み込みが早くなり、口の中を確認することもできなくなります。手を噛まれる事故も、この場面で起きます。
  • 食べたあとに叱る。叱った時点で、犬の中では「食べた」はすでに終わっています。叱り声と結びつくのは「飼い主が近くにいること」で、結果として飼い主が見ていないときだけ拾う犬になります。
  • 辛子やタバスコを塗った物を置いておく(天罰式)。「まずい経験をさせれば拾わなくなる」という考え方ですが、犬は塗った物と塗っていない物をにおいで区別します。教わるのは「飼い主が置いた物は避ける」だけで、道端の物は変わりません。胃腸への負担もあります。AVSAB(米国獣医動物行動学会)は2021年の声明で、力や痛み、不快感に頼る方法はしつけにも問題行動の治療にも使うべきでないとしています。報酬で教えるほうが結果がよいからです。
  • 「ダメ」を連呼する。止まらない合図を繰り返すと、言葉が意味を失います。合図は1回、続かなければ動作(進路を変える、リードを詰める)で対応します。
  • 口輪をつけたから安心してノーリードにする。口輪は隙間から小さな物を吸い込むことがあり、外れることもあります。リードは必ずつけます。
  • 拾ったら散歩を切り上げる。「拾うと帰る」は、犬にとって罰になっていません。散歩を早く終えたい犬には、むしろご褒美です。

家の中でテーブルの上の物を取る、ゴミ箱をあさる、という行動も同じ仕組みで強化されています。室内の盗み食いは犬がテーブルの上の物を食べる・盗み食いするで、環境の作り方から書いています。

拾うと危険な物と、食べてしまったときの動き方

散歩道の落ち葉に半分埋もれた菓子の空き袋と焼き鳥の串(イメージ)

ここは読んで覚えるより、スマホにメモしておく項目です。「吐かせない」「包装を捨てない」「すぐ電話」の3つだけでも書いておいてください。

落ちていることが多い物何が起きるか注意点
玉ねぎ・ネギ類(弁当の残り、ハンバーグ)赤血球が壊されて貧血になる。歯茎の色が抜ける、尿が濃くなる加熱調理では毒性が抜けない。汁がしみたご飯でも量が入る。受診を症状の有無で決めないこと
チョコレート・ココアテオブロミンによる中毒。落ち着きを失う、吐く、震える、脈が乱れる。重ければけいれんカカオが濃いほど少ない量で危険。ミルクチョコでも、小型犬なら量しだいで受診
ぶどう・レーズン(レーズンパン含む)腎臓が急に働かなくなる何粒までなら安全という線が引けない。少量で重くなる犬がいる
キシリトール入りガム・タブレット急激な低血糖、肝障害0.1g/体重1kgでも低血糖が起きうる。早ければ食べて30分で異常が出る。この表でいちばん急ぐ
タバコの吸い殻ニコチン中毒。そわそわする、震える、吐く吸い終わった吸い殻にもニコチンは残る。雨や水たまりでふやけた物はとくに危ない
ボタン電池アルカリで粘膜が焼ける。食道や胃に穴が開くことも進行が速い。戻す途中でもう一度食道を通るので、家で吐かせるのは禁物
保冷剤・冷却シート中身の成分によって中毒や消化管の閉塞製品によって成分が違う。袋や本体を持って受診
除草剤・殺鼠剤(公園の植え込み、農地脇)けいれん、出血、意識がはっきりしなくなる散布直後の草を食べただけでも相談。散布の看板がある場所は避ける
鶏の骨・焼き鳥の串・楊枝食道や腸に刺さる、穴が開く火を通した骨は割れ方が鋭い。串と楊枝も同じ扱いで、吐かせずに受診

ここに書いていない物が安全という意味ではありません。人の薬、洗剤、観葉植物なども同じです。

食べてしまったときの手順

  1. 手を出さない。戻させようとしない。家庭でできる催吐の手当ては、そもそも存在しません。何かを飲ませて戻させる方法は食道を傷めますし、電池や骨では危険が増えるだけです。ここは飼い主が判断する場面ではありません。
  2. 手元に残った物を確保する。包装、食べ残し、吐いた物。捨てずに写真を撮り、袋はそのまま持って出ます。原材料の表示が診断の材料になります。
  3. 電話をかけ、時刻と量を伝える。何時ごろ、何を、どれくらい。この3つで十分です。元気そうに見えることは、待ってよい理由になりません。玉ねぎのように、体に出てくるまで数日かかる物があります。かかりつけと夜間救急の番号は、散歩に持つスマホへ今のうちに入れてください。
  4. そのあとの変化に、時刻をつける。吐いた、下痢をした、ふらついた、震えた、よだれが増えた。何時何分かが分かると、診察がまっすぐ進みます。

この記事は診断や治療の代わりにはなりません。判断に迷ったら、必ず動物病院に連絡してください。

3週間やって変わらないときに考えること

夕方のリビングでくつろぐ犬(イメージ)

拾い食いの練習で一番むずかしいのは、手順ではなくタイミングです。犬が落とし物に気づいた瞬間に「リーブイット」を出せているか。口が開いた瞬間にご褒美が届いているか。自分では合っているつもりでも、1秒遅れているだけで犬には別のことが伝わります。そして散歩は毎日あり、練習が仕上がる前に本番が来てしまいます。

3週間続けて、室内ではできるのに散歩で一度も成功しないなら、やり方の問題より「見てもらう」段階です。選択肢は3つあります。

  • しつけ教室・出張トレーニング。拾い食いは外で起きるので、実際の散歩コースを一緒に歩いてもらえる出張型か、屋外で練習できる教室が向いています。お住まいの地域のしつけ教室から、屋外レッスンの有無で絞ってください。
  • 飼い主が学ぶオンライン教材。合図を出すタイミングやご褒美の渡し方は、文章より動画のほうが圧倒的に伝わります。自分の動きと見比べられるのが利点です。
  • 動物病院の行動診療科。食べ物でない物を繰り返し飲む、口に入れた物を守って唸る、といった様子があるなら、教室より先に相談してください。先に受診すべきサインは選び方のページにまとめています。

散歩でリードを持っているのは、トレーナーではなく飼い主

拾い食いは、教室の中では起きません。起きるのは毎朝の散歩道で、そこにいるのは飼い主だけです。どんなに良いトレーナーに預けても、「気づいた瞬間に合図を出す」「口が開いた瞬間にささみを出す」を毎日やるのは飼い主になります。だから拾い食いに関しては、犬を訓練してもらうことより、飼い主がタイミングを体で覚えることのほうが結果を左右します。

「イヌバーシティ」は、犬ではなく飼い主のほうを鍛えるオンライン教材です。収録1,260分の中に問題行動が変わっていく過程まで入っているので、合図を出す瞬間と、ご褒美が届く瞬間を止めて見比べられます。体罰は使いません。価格は43,780円(税込)で、散歩に同行してもらう出張トレーニング(1回8,000〜20,000円)の4回ぶんと同じくらいです。

正直に書きます。教材は自分で練習する前提のものです。「散歩に付き添って、その場で直してほしい」という方には、出張トレーニングのほうが確実です。向いているのは、手順は分かっているのにタイミングが合っていない気がする方、そして通える範囲に屋外で教えてくれる教室が見つからない方です。

草むらに顔を突っ込む、くわえた瞬間に飲み込む、取ろうとすると逃げる——いろいろ調べても、結局「で、その瞬間どうすればいいの?」となっていませんか? その「瞬間」を、動画で何度でも止めて見られます。イヌバーシティの公式ページには、実際の教材から抜き出した動画が置いてあります。散歩前に一度、目を通しておくと見え方が変わるかもしれません。

犬のしつけ教材 イヌバーシティ|飼い主が学ぶための教材

イヌバーシティの中身を覗いてみる

※ 公式ページが開きます。教材のサンプル動画をそのまま見られます。

よくある質問

Q. 何をやっても拾い食いが治りません。もう無理ですか?

「治らない」と感じる犬のほとんどは、練習より散歩の回数のほうが多い状態です。室内で10回成功しても、散歩で1回拾えば犬にとってはそちらが本番です。まず2〜3週間、コースを変えてリードを短く持ち、拾える機会をゼロに近づけてください。そのうえで交換とリーブイットを室内から積み直します。成犬になってからの習慣は数ヶ月かかることが普通で、「治らない」のではなく「まだ成功の回数が足りない」と考えたほうが実態に合います。

Q. 口輪はかわいそうではありませんか?

無理やりつければ、犬にとって嫌な物になります。ただ、この記事の手順で慣らした犬は、口輪を見ると自分から鼻を入れてきます。「口輪をつけると散歩に行ける、ささみがもらえる」と学んでいるからです。吸い殻や鶏の骨を飲んで開腹手術になるほうが、犬にとってはるかにつらい経験です。バスケット型で呼吸と水飲みができる物を選び、装着中は目を離さない。この条件を守るなら、口輪は犬を守る道具です。

Q. 散歩中に草を食べます。これも拾い食いですか?

ときどき草をかじる程度なら、多くの犬に見られる行動です。ただし、毎回のように大量に食べる、食べたあとに吐く、急に始まった、という場合は胃腸の不調が隠れていることがあります。除草剤がまかれた草を食べる危険もあるので、公園の植え込みや農地脇では「リーブイット」で止めてください。頻度が高ければ一度受診を。

Q. うんちを食べるのも同じ方法で直せますか?

他の犬の便を散歩中に拾うなら、この記事のリーブイットと管理で対応できます。自分の便を家で食べる食糞は、原因の分け方が少し違います。犬の食糞をやめさせる方法に、叱っても直らない理由と食事・環境の見直しをまとめました。

Q. 拾い食いしない犬にするには、子犬のうちに何をしておけばよかったですか?

いちばん効くのは、子犬のうちに「ちょうだい」と交換を遊びとして教えておくことです。口の物を出すと良いことが起きる、という経験を最初から積んだ犬は、成犬になっても取り上げられることに抵抗しません。今からでも遅くはなく、この記事の手順はそのまま使えます。

Q. 拾ったものを口から出さず、唸ります。

くわえた物を守って唸る場合は、無理に取ろうとしないでください。手を出すほど守りが強くなり、咬傷事故につながります。この行動は「リソースガーディング」と呼ばれ、交換の練習の前に段階を踏む必要があります。犬がご飯やおもちゃを守って唸るで、譲れるようになる練習の順番を書いています。唸りが強い、咬んだことがある場合は、動物病院の行動診療科にも相談してください。

なお、身近に相談先がない場合は、オンラインで指導するトレーナーもいます。拾い食いは散歩の動画を送れば見てもらえるので、対面でなくても成り立つ相談のひとつです。

まとめ

  1. 拾い食いは毎回成功する行動なので、叱っても消えない。直すには「出すと得」の経験と、拾えない散歩の両方が要ります。
  2. 追いかけて取り上げない。「近づかれたら飲む」「逃げれば取られない」を教えてしまいます。
  3. 「ちょうだい」は室内→庭→散歩、低価値→高価値の順で3週間。危険物を出せたときこそ、ご褒美は3倍。
  4. 「リーブイット」は握った手→開いた手→床→散歩の順。合図は犬が気づいた直後の1回だけ。
  5. 散歩はコースを変え、草むらと反対側を歩かせ、リードを短く持つ。練習が仕上がるまでの数週間だけの回り道です。
  6. 口輪はバスケット型を、罰ではなく安全装備として慣らす。食べてしまったら、吐かせず、写真を撮って、すぐ動物病院へ。

拾い食いは、犬が悪い子だから起きるのではなく、拾えば食べられる環境と、取り上げられる経験の積み重ねで作られます。だから、飼い主の側の動きを変えれば戻せます。散歩で一緒に練習してくれるトレーナーを探すなら、屋外レッスンや出張に対応している教室を地域から絞ってください。

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