インターホンに吠える犬を静かにする方法|鳴る前から始める練習

犬のしつけ方

ピンポン、の一音で犬が跳ね起きて玄関へ走る。宅配便のたびに部屋中に声が響き、集合住宅なら廊下にも漏れる。テレビドラマのチャイムにまで反応する。ここまで来ていると、もう「誰か来たから吠えている」のではありません。チャイムを聞いた時点でスイッチが入り、吠える動作がひとりでに始まっている状態です。

この記事が扱うのは、音への反応だけです。玄関が開いて人が入ってきたあとの興奮や警戒は別の課題なので、来客に吠える犬の記事に分けました。ここで書くのは、鳴った瞬間の1秒をどう変えるかです。

やることは2つだけ。練習が終わるまで本物のチャイムを鳴らさない環境を作ることと、録音した音を小さい音量から聞かせて、音とおやつを結び直す14日間です。音量の上げ方を日数で区切った表、家族での役割分担、宅配が多い家の現実的なやり方まで、順に書きます。

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最終更新 2026年9月8日

「鳴る→吠える→人が帰る」が、毎日くり返されている

チャイムが鳴った直後に玄関のドアへ走り出す小型犬(イメージ)

見ておきたい点は3つです。犬の側では吠えが毎回うまくいっていること。数を重ねるうちに音だけで反応が完成すること。飼い主の動きまで合図に組み込まれていることです。

宅配便が、いちばん強い練習相手になっている

宅配の人が玄関の外に立っている場面を思い浮かべてください。チャイムが鳴る。犬が吠える。相手は荷物を置くか渡すかして、1分もしないうちに立ち去る。犬から見える筋書きは、いつもこの形です。吠えたら、外の誰かがいなくなった。実際には黙っていても配達は終わって帰るのですが、それを犬が確かめるすべはありません。

しかも配達は週に何度もあります。教室に週1回通っても練習は週1回ですが、この「成功体験」は週に5回でも10回でも積み上がります。うまくいっている行動は、放っておけば必ず強くなります。これが、吠えが年々ひどくなっていく理由です。

来客の場合は逆の筋書きになります。鳴る。吠える。ドアが開き、見知らぬ人が家に上がってくる。ここでは吠えは失敗しているのですが、代わりにチャイムが「これから知らない人が入ってくる」という正確な予告になります。予告が当たるほど、次の音に対する反応は速く、強くなります。

そのうち、音だけで足りるようになる

最初は「知らない人が来るかもしれない」という警戒だったものが、何百回も繰り返されるうちに、音と吠えが直結します。こうなると、玄関に誰も来ていなくても声が出ます。テレビのチャイム音に吠える、スマホの通知音に吠える、集合住宅で隣の部屋のインターホンにまで反応する。これは犬が混乱しているのではなく、音と吠えをつなぐ回路ができあがってしまった証拠です。

ここまで来ると、来客の対応を工夫しても止まりません。玄関で何が起きるかとは関係なく、音が鳴った時点で終わっているからです。だから、この記事の練習は音だけを取り出して組み直します。

飼い主の動きも、合図に含まれている

もうひとつ見落とされやすいのが、鳴った直後の人の動きです。犬の側には、音のあとに必ず同じ光景が続いています。作業の手が止まり、家の中の空気が張りつめ、誰かが早足で玄関へ向かう。音と同じくらい正確な予告になるうえ、「家の人が急いでいる」という緊張まで伝わります。飼い主が慌てるほど、犬の反応も鋭くなります。あとの手順で、この動きも一緒に変えていきます。

めざすのは「吠えない犬」ではなく、「鳴っても2秒で切り替わる犬」

吠えは犬の伝え方のひとつなので、まるごと消すという目標はうまくいきません。決めるべきゴールは、行動で書ける形にしてください。「1〜2回吠えたあと、名前を呼べば戻る」「音が鳴ったらマットへ行く」。この2つができれば、宅配のたびの騒ぎはほぼ終わります。

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犬のしつけ教材 イヌバーシティ|飼い主が学ぶための教材

チャイムが鳴った次の瞬間、あなたはどう動きますか?

インターホンの吠えへの対応は、鳴った直後の数秒がカギです。ネットなどで調べて手順を覚えたつもりでも、実際に鳴った瞬間は体が固まってしまいます。
映像で動きを先に見ておくと、迷う時間がなくなります。動画教材の「イヌバーシティ」で、インターホンの吠えを解消しましょう。

イヌバーシティの中身を覗いてみる

※ 公式ページが開きます。教材のサンプル動画をそのまま見られます。

うちの犬はどのタイプか、鳴った直後の1秒で見分ける

玄関のほうを見て体をこわばらせている柴犬(イメージ)

同じ「ピンポンで吠える」でも、中身は4通りに分かれます。どれも音の慣らしが土台になりますが、組み合わせる手順が変わるので、先に見分けてください。判断材料は、鳴った直後にどこを見ているかと、声の出方です。

タイプ鳴った直後の様子止まるときこの記事に加えて読むもの
音そのものへの反射玄関を確かめる前に、音が鳴り終わるのを待たずに声が出る。テレビや隣家の呼出音、似た電子音でも同じこれといったきっかけなく、そのうち収まるこの記事の手順だけで足りることが多い
警戒・縄張り玄関の方向から目を離さない。声は低めで途切れず、体は前へ、後ろ足に力が入る。毛が立つことも相手が帰る、気配が消える音の慣らし+来客に吠える犬
興奮・期待ドアが開くのを待って、玄関の前を行ったり来たりする。声は高く短く、しっぽから腰まで動く人に会えるか、疲れると止まる音の慣らし+来客に吠える犬
要求・注目玄関ではなく飼い主のほうへ向かって吠える。人が振り向くと勢いが増す飼い主が動く、声をかける要求吠えの記事

迷ったら、誰もいないと分かっている状態でチャイムを鳴らしてみてください。外から家族に押してもらい、飼い主は玄関へ行かずに座ったまま観察します。それでも同じように吠えるなら、人の有無と関係なく音だけで反応が起きています。玄関に人がいると分かっているときだけ強く吠えるなら、警戒か期待が主です。

表に入れなかったものが、ひとつあります。これまで何ともなかったのに急に音を怖がる。体を震わせる、物陰に隠れる。高齢になってから始まった。こうしたときは聴力の変化や痛み、認知機能の低下が関わっていることがあり、練習では変わりません。まずかかりつけで相談してください。病院を先にすべきかどうかの線引きはしつけ教室の選び方で説明しています。吠えの原因を5つに分けた全体像は無駄吠えが止まらない原因の記事にあります。

【練習の前に】2週間、本物のチャイムを鳴らさない

玄関前に置かれた宅配ボックスと段ボール箱(イメージ)

実は、この章の出来で結果のほとんどが決まります。練習の効果を決めるのは、練習していない時間に本物が何回鳴ったかです。録音を小さく流して1日10回うまくいっても、その日に宅配が3回来て3回とも吠えていたら、差し引きはほぼゼロになります。犬は「練習用の小さい音」と「本物の音」を別物として扱ってはくれません。

だから最初の仕事は、練習ではなく音を減らすことです。目標は2週間で鳴る回数を7割減らすこと。次の5つを、できるところから片づけてください。

チャイムの回数を減らす5つの手

  • 宅配を置き配・宅配ボックスに切り替える。各社のアプリで受け取り方法をあらかじめ「置き配」に設定しておくと、押されずに済みます。コンビニ受取や営業所受取も同じ効果があります
  • 玄関ドアに一言貼る。「訓練中のため、チャイムは鳴らさずお電話ください」と番号を添えるだけで十分です。宅配の方はこの種の貼り紙を見慣れているので、たいてい従ってくれます
  • 室内機の音量を最小にする、または音の種類を変える。機種によっては呼出音を選べます。犬が反応してきた音とは違う音に替えるだけで、反応が一段弱くなることがあります
  • 受け取る時間を犬がいない時間に寄せる。時間指定を、散歩に出ている時間帯や、家族が先に玄関に立てる時間帯に合わせます
  • 留守中に何回鳴っているかを調べる。ペットカメラかスマホの録画で1日分を確認します。在宅中の回数だけで「1日2回」と思っていた家が、録画を見たら5回だった、という例は珍しくありません

集合住宅の方には、ひとつ有利な条件があります。エントランスと玄関で2回鳴ることです。1回目の呼び出しに応答してから配達員が上がってくるまで、30秒から1分の余裕があります。この時間に犬をマットへ誘導できます。この30秒は、そのまま本番の練習に使えます。音がいきなり来ないぶん、戸建てより有利だと考えてください。

「鳴らさないだけでは解決になっていないのでは」という疑問はもっともです。これは答えそのものではなく、練習の成果が目減りしないようにするための地ならしです。吠える回数が減った状態を作ってから、次の章の音慣らしを始めます。順番を逆にすると、たいてい進みません。

録音した音で慣らす|14日間の手順

スマートフォンから流れる小さな音を聞きながらおやつを受け取る犬(イメージ)

ここからが本体です。やっているのは、音への反応を薄めていく脱感作と、音の意味を書き換える拮抗条件づけの2つを同時に行う練習で、獣医行動学の分野で不安や恐怖への標準的な手当てとして使われている方法です。難しそうに聞こえますが、家でやることは単純です。

準備するもの

  1. 自宅のチャイムの録音。家族に外から押してもらい、室内でスマホに録っておきます。よその家の音では意味が薄くなります。
  2. 音量を細かく変えられる再生環境。スマホ単体でも進められますが、小さなBluetoothスピーカーがあると刻みを細かくできて、失敗が減ります。
  3. 小さく切ったおやつ。5mm角のチーズや、ゆでたささみ。普段のフードより格が上のものを使ってください。

絶対に守る3つの原則

手順より先に、この3つを頭に入れてください。ここを外すと、何日やっても進みません。

  1. 始める音量は、犬の耳が決めます。耳がぴくりと動く、顔だけ音のほうへ向く。そこで止まる大きさが、その日のスタート地点です。1回でも声が出るなら、まだ早いということ。
  2. おやつは、音を追いかけて出します。先におやつを見せてから鳴らすと、何も教えたことになりません。音が聞こえて0.5秒後に手が動く、くらいの速さを目指してください。
  3. 吠えたら、叱らずに音量を戻します。吠えたのは犬の失敗ではなく、こちらが上げ方を急いだ合図です。前の段階からやり直します。

14日間の進め方

1回のセッションは2〜3分、1日1〜3回。犬が疲れていない時間帯を選んでください。食事の前が一番集中します。

音量の目安1回でやること次に進む条件
1〜3日目レベル1。隣の部屋から漏れてくるくらい。耳が動く程度音を鳴らす→直後におやつ1粒。10回くり返す音が鳴っても玄関へ行かず、その場でおやつを待てる
4〜6日目レベル2。同じ部屋で小さく聞こえるくらい同じく10回。犬が音のほうへ体を向けたら、そこでおやつ3回連続のセッションで1度も吠えない
7〜9日目レベル3。人の話し声くらいの音量10回。おやつを渡す位置を、玄関から離れた場所に固定する音のあと、自分から飼い主のほうへ動く
10〜12日目レベル4。実際の半分くらい10回。音のあとにドアノブを回す音、ドアを少し開ける音を足すドアの音まで足しても落ち着いていられる
13〜14日目レベル5。実際とほぼ同じ音量5回に減らし、1回ごとの間隔を空ける本物のチャイムに移ってよい

10日目から足している「ドアの音」には理由があります。犬が結びつけているのはチャイムの音だけではなく、そのあとに続く一連の物音だからです。米国の獣医行動学者がまとめた玄関まわりの練習表は、この部分をかなり細かく扱っています。ノックの強さと長さを何段階にも割ったうえ、扉を開ける幅まで2cm、5cm、10cmと数センチ刻みで進む作りです。家庭ではそこまで刻まなくても、音→ノブ→隙間、の3段階を意識すれば十分です。

そして人が入ってくるところから先は、この記事では扱いません。そこは音の問題ではなく、体の大きな人が近づいてくることへの反応の問題になります。手順が変わるので、来客に吠える犬の記事に続きを書きました。

進まないときの3つの確認

  1. 音量の刻みが粗すぎないか。レベル1から2へ上げたところで吠え始めるなら、その間にもう1段階を作ります。刻みは、細かすぎて損をすることはありません。
  2. おやつを食べなくなっていないか。目の前のおやつを口にしなくなったら、犬の緊張が高すぎるサインです。すぐに終了して、次回は2段階戻します。
  3. 前より反応が強くなっていないか。練習を始めてから吠えがひどくなったなら、急ぎすぎです。いったん1週間休んで、レベル1からやり直してください。反応を薄めるつもりの練習が、逆に反応を育ててしまうことがあります。

吠える代わりに教える行動と、家族の役割分担

玄関から離れたマットの上で伏せている犬(イメージ)

音への反応が薄れてきたら、空いたところに別の行動を入れます。吠えることと同時にはできない動きを教えるのが原則です。マットへ行って伏せる、ハウスに入る、おもちゃをくわえる。どれでもかまいませんが、家の作りに合うものをひとつだけ選んでください。

マットへ行く練習(10日)

マットは、玄関との間に2m以上の距離があり、そこから玄関が見えない(見えにくい)場所に置きます。廊下の途中や玄関マットの延長では、練習になりません。

  1. 1〜3日目|マットの上で1粒ずつ。何も指示せず、マットに乗ったらおやつを置くだけ。1回2分、1日3回。マットに乗ると良いことが起きる、を先に作ります。
  2. 4〜6日目|言葉をつける。犬がマットへ向かい始めた瞬間に「ハウス」「マット」など決めた言葉を1回。乗って伏せたらおやつ。1回10回。
  3. 7〜8日目|録音の音とつなぐ。レベル3程度の音を鳴らしたら、決めた言葉をかけてマットへ送ります。伏せたら2秒に1粒、10秒ほど渡し続けてから解放します。
  4. 9〜10日目|自分で行くのを待つ。音を鳴らしたあと、誘導せずに3秒待ちます。自分でマットへ動いたら、おやつを2粒。動かなければ誘導して、次回は音量を1つ下げます。
  5. 本番へ。本物のチャイムが鳴ったときは、玄関に応じるより先に犬をマットへ。順番を逆にしないでください。

おやつを渡し続ける代わりに、おもちゃを1つ持たせてしまうやり方もあります。何かを口にはさんだ犬は声を出しにくく、興奮タイプにはとくに向いた方法です。フードを詰められる知育トイ(コング等)を玄関の近くではなくマットの脇に置いておき、音が鳴ったら渡します。硬さは、床に落として割れない程度のものを選んでください。

家族で役割を分ける

本物のチャイムを使う段階に入ったら、ひとりでは回りません。役割を先に決めておきます。

役割やることやってはいけないこと
鳴らす係外に出てチャイムを押す。最初は1回だけ短く。慣れてきたら2回、長押しと変えていくいきなり連打する。犬の反応が聞こえても押し続ける
褒める係犬の隣にいて、音の直後からおやつを渡す。犬がマットにいる間は渡し続ける玄関へ行く。犬を押さえる。吠えてから渡す
玄関に出る係褒める係が犬をマットに乗せたのを確認してから、ゆっくり歩いて玄関へ走る。「はい!」と大きな声を出す

協力者の顔ぶれより先に、回数と間隔を決めてください。同じ人が5分おきに10回押すほうが、10人が1日1回ずつ押すより、犬は早く飽きます。相手を変えるのは、ひとりで落ち着けるようになってから。身内 → たまに来る親戚や友人 → 面識のない人の順に広げます。

ひとり暮らしの場合は、鳴らす係をスマホで代用します。録音した音をタイマーで再生する設定にしておけば、自分は犬の隣にいたまま音を出せます。玄関の外に小型スピーカーを置いて再生すると、音の届き方が本物に近くなります。

やってはいけないNG対応

物音に耳を伏せて後ずさりする犬(イメージ)

よかれと思ってやっていることが、そのまま吠えの燃料になっている場合があります。なぜそうなるのかも添えて並べます。

「うるさい!」「静かに!」と大きな声を出す。注目してほしくて吠えている犬にとっては、これで用が足りてしまいます。警戒や不安で吠えている犬なら、チャイムのあとに「家の人が怖い声を出す」という一項目が加わり、次の音への反応がさらに強くなります。どちらのタイプでも、得はありません。

犬と一緒に玄関へ走る。「誰だろうね」と言いながら並んで確認しに行く。犬から見ると、家族も一緒に警戒してくれていることになります。玄関へは、犬をマットへ送ってから、ゆっくり歩いて向かってください。

吠えている最中におやつを出す。いちばん多い取り違えです。渡すのは音の直後、吠える前。吠えてから静かにさせようとして出すと、「吠える→おやつ」を教えることになります。間に合わないなら、音量が大きすぎるということです。

マズルをつかんで口を閉じる、缶を鳴らして驚かせる。その場の声は止まるかもしれません。ただし犬に残るのは「手が伸びてくると嫌なことが起きる」「大きな音のあとに嫌なことが起きる」の2つで、どちらもチャイムの問題を重くする方向にはたらきます。手を避ける、触られると歯を当てるなど、別の困りごとへ枝分かれすることもあります。

吠え防止首輪(電気・スプレー・超音波)で黙らせる。米国獣医動物行動学会(AVSAB)は2021年の声明で、しつけにも問題行動の治療にも報酬を使う方法だけを用いるよう求め、痛みや恐怖に頼る道具は、そのどちらにも使うべきではないとしています。挙げられている理由は、恐怖や不安、攻撃性が増えること、そして犬と人の関係が損なわれることです。インターホンの吠えに限って言えば、音が鳴ると嫌なことが起きるという学習を上乗せするので、警戒タイプではむしろ玄関への反応が強まります。研究の中身は無駄吠えの記事のよくある質問に書きました。

チャイムを切ったまま、練習をしない。前の章の環境整備は、練習が積み上がるための下ごしらえであって、それ自体が答えではありません。切ったまま半年たつと、久しぶりに鳴った1回で元どおりになります。音を減らしたら、必ず録音の練習に進んでください。

2週間の音慣らしで反応が薄れないとき

夕方のリビングでくつろぐ犬(イメージ)

2週間やってレベル2から先に進めない。録音では平気なのに、本物のチャイムだと元どおり。この段階で止まる家の原因は、だいたい決まっています。音量の刻みが粗い、おやつを出す順番が半拍遅れている、練習していない時間に本物が鳴り続けている、家族のひとりだけが今も玄関へ走っている。どれも、当人からは気づきにくいずれです。

打つ手は、大きく3つです。

  • しつけ教室・出張トレーニング。犬の待機場所、玄関までの距離、家族の動線は、家ごとにまるで違います。実際に鳴らしてもらいながら見てもらうのが最短です。全国のしつけ教室のページで、住んでいる市区町村と訪問の可否から候補を出せます。候補が思いつかないときは、相談内容を無料で書き込めるペットの窓口 おこまりマッチングという入口もあります。
  • 飼い主向けのオンライン教材。音量の上げ方やおやつを出す間合いを、映像と自分の手つきで突き合わせる方法です。あとで触れます。
  • 動物病院の行動診療科。震える、隠れる、口からおやつがこぼれる、留守番中にパニックになる。ここまで出ているなら、練習だけでは動かない領域です。受診を考える目安はしつけ教室の選び方のページに書いています。

チャイムが鳴るのは、トレーナーが家にいない時間帯です

宅配便は平日の昼にも、日曜の朝にも来ます。その一回一回で「音が鳴ってから最初の2秒」をどう使うかを決めているのは、そこにいる家族です。犬が教室でできるようになるかどうかと、家の全員がその2秒の動きをそろえられるかどうかは、別の話です。

「イヌバーシティ」は、犬ではなく飼い主が学ぶ側に回るオンライン教材です。手順そのものと、問題行動が動いていく途中経過の両方が、1,260分におよぶ映像に収められています。体罰にあたる場面は出てきません。金額は43,780円(税込)で、購入した当日からスマホで開けて、見られる期間の区切りもありません。家に来てもらう指導は1回あたり8,000〜20,000円というのが相場ですから、玄関の場面を4回見てもらうのと同じくらいの金額になります。

正直に書きます。これは、飼い主が自分で音を鳴らして、自分の手で練習を組む前提の教材です。「今の音量で合っているかを、その場で見て言ってほしい」なら出張トレーニングのほうが確実です。合うのは、手順の理屈から入りたい方、家族全員で同じ映像を見て動きをそろえたい方です。

鳴った瞬間に玄関へ走る、テレビのチャイム音にまで反応する、宅配のたびに声が廊下へ響く——いろいろ調べても、結局「で、その瞬間どうすればいいの?」となっていませんか? 音が鳴ってからの2秒に飼い主の手がどう動いているか。そこを実際の犬の映像で確かめられます。イヌバーシティの公式ページには、実際の教材から抜き出した動画が置いてあります。吠えの回を1本見てから練習法を考えてもいいと思います。

犬のしつけ教材 イヌバーシティ|飼い主が学ぶための教材

イヌバーシティの中身を覗いてみる

※ 公式ページが開きます。教材のサンプル動画をそのまま見られます。

よくある質問

Q. 変化が見えるまでにどのくらいかかりますか?

数日で普通の音量まで届く犬もいますが、そこまで速いのは少数です。音への反応だけに絞っても、毎日続けて数週間かかると見ておいてください。この記事の14日間は、順調に進んだ場合の骨格です。頼りになるのは日数ではなく条件のほうで、「その音量で3回連続、1度も吠えない」が次へ進む合図だと決めておけば、遠回りに見えて結局は早く着きます。反対に、カレンダーだけを見て音量を上げると、10日目あたりで必ず行き詰まります。

Q. マンションでエントランスと玄関の2回鳴ります。どちらから練習しますか?

玄関側からです。犬が強く反応しているのはたいてい玄関の呼出音で、エントランス側は音が違ううえ、そのあとに人が来ない回も多いからです。ただし練習が進んだあとは、エントランスの音を「マットへ行く合図」として使えます。1回目が鳴ったらマットに送り、2回目が鳴るころには伏せて待っている、という流れを作れれば理想的です。共用部の音量設定は管理規約の範囲で変えられることがあるので、管理会社に確認してみてください。

Q. 留守番のあいだにチャイムが鳴って、吠えているようです

まず、本当に留守中だけかを録画で確かめてください。飼い主が家にいるときは1〜2回で止まるのに、留守中は5分以上続いているという家は珍しくありません。対策は2つで、音を届かせないこと(置き配の設定、室内機の音量、犬の待機場所を玄関から遠い部屋に移す)と、留守中の環境を整えること(フードを詰めた知育トイ、ラジオを小さく流して外の物音を薄める)です。出かけた直後から歩き回る、よだれ、家具や壁の破壊が重なっているなら、チャイムとは別の問題が重なっています。

Q. 吠え防止首輪を勧められたのですが、どうでしょうか?

おすすめしていません。理由は2つあります。ひとつは、AVSAB(米国獣医動物行動学会)が2021年の声明で、電気やスプレーのように不快な刺激を与える道具を、しつけにも問題行動の治療にも用いない立場をとっていること。もうひとつは、インターホンの吠えとは特に相性が悪いことです。この道具は音のあとに不快な刺激を出すので、犬にとっては「チャイムの音=嫌なことの予告」がもう一段強まります。声が止まっても玄関への警戒はそのまま残るため、首輪を外した場面で元に戻ったり、うなる・前触れなく咬むといった別の出方に変わったりすることがあります。研究の詳細と、そこから読み取れることは無駄吠えの記事に書きました。

Q. 子犬のうちからできることはありますか?

あります。むしろ子犬のほうが簡単です。まだチャイムに何の意味も持っていない時期に、小さな音量で鳴らしておやつ、を1日3回くり返しておくだけで、「音が鳴ると良いことがある」が先に入ります。あとから吠えを消すより、はるかに手間がかかりません。迎えてすぐの時期に、掃除機やドライヤー、来客の声といった生活音を、おやつと一緒に経験させておくのも同じ考え方です。

Q. 練習中に来客の予定が入ってしまいました

その日は練習を休んで、管理に徹してください。来る方に事前に連絡して、チャイムを押さずに携帯へ電話してもらいます。犬は玄関から離れた部屋か、扉を閉めた場所で待機。フードを詰めた知育トイを渡してから迎え入れます。1回の失敗で振り出しに戻るわけではありませんが、「本物で吠えた回数」は少ないほど早く進みます。人が入ってきてからの落ち着かせ方は来客に吠える犬の記事にまとめました。

まとめ

チャイムへの吠えに手をつけるとき、押さえどころは次の6点です。

  1. 吠えは毎回うまくいっている。配達の人が立ち去るのは荷物を渡し終えたからですが、犬に残る結果は「追い払えた」のほうです
  2. 音だけで反応が起きていないか確かめる。誰もいないと分かっていても吠える、テレビのチャイムに反応するなら、その状態です
  3. 練習より先に、鳴る回数を7割減らす。置き配、貼り紙、室内機の音量、時間指定。土台がないと練習が積み上がりません
  4. 録音を、吠えない音量から14日かけて上げる。音が先、おやつが後。吠えたのは音量を上げすぎた合図です
  5. 吠えと同時にできない行動を1つ教える。玄関から2m以上離れたマットへ行って伏せる。おもちゃをくわえるでも構いません
  6. 家族で役割を決める。鳴らす係、褒める係、玄関に出る係。走らない、大声を出さない、が全員のルールです

チャイムへの吠えは、家の作りと家族の動きに強く左右される問題です。やり方が合っていても、玄関までの距離やマットの位置がずれているだけで進まないことがあります。2週間やって手ごたえがなければ、実際に鳴らしてもらう場に第三者を入れるのが近道です。イヌカツでは、市区町村ごとに訪問の可否や費用を調べたうえで教室を一覧にしています。

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※ 脱感作と拮抗条件づけに関する記述は、獣医行動学の一般的な解説にもとづく家庭向けの手順で、個々の犬での結果を保証するものではありません。
※ 音への過敏や高齢での変化についての記述は一般的な情報です。気になる様子が続くときは、かかりつけの動物病院にご相談ください。

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